オーストラリアで迎える五輪は、
今回が4回目になる。
それは日本で迎えるときとはまるで熱狂が違う。
日本ではもちろん、年齢も若かったし、
社会人になってからはマスコミで働いていたので、
やはりオリンピックは大イベントで、
深夜まで必死で日の丸を応援した記憶が懐かしい。
そんな理由を差し引いても、
こちらのオリンピックは盛り上がらない。
いや、オージーたちはもちろん、
それなりに盛り上がってるに違いない。
報道も一生懸命してるし。
ただ、放映権を握るのがテレビの一局だけなのが問題だ。
そのため観れる種目はかなり限られていて、
チャンネル7(セブン)のチョイスでしかない。
当然、オーストラリアが強い種目にばかり焦点があたる。
つまり、
水泳、水泳、水泳、水泳、ビーチバレー、水泳、
(注:東京五輪のときは、きっとサーフィンもこれに加わるはず!)
って感じで、柔道なんてかすりもしないし、
大好きな体操も観れない。
すべてウェブニュースで確認するだけ。
というわけで、日本にいたときみたいに
寝不足になる必要もなく、オープニングセレモニーの日も
午前中から近所の図書館に出かけることにした。
その日は、8月6日、広島に原爆が投下された日だった。
ちょうど家を出る時間が投下時間に近く、
車の中で黙祷をしてからエンジンをかけた。
図書館ではなぜかキッズコーナーに私の定席がある。
自由に本を読める雰囲気が好きでついついこちらに来てしまう。
そこでたまたま目にしたのが、
『Yoko’s Diary』という本だった。
ピンクを基調にして桜の花が散りばめてある可愛らしい装丁で、
思わず手にとってみると、
瑤子とは、広島の宮島で生まれ育った女の子だった。
広島の県女に通うわかめちゃんカットの瑤子ちゃんが、
8月6日まで生きた記録、日記。
たくさんの写真も使ってあって、
とても愛されてた女の子だとわかる。
それにしてもこんな本を異国の田舎の図書館で、
奇しくもヒロシマの日に手にするなんて。
不思議な偶然もあるものだ。
いや、もしかして8月6日の必然か。
完璧とはほど遠くても、
世界平和の上に成り立つスポーツの祭典が
開催できる幸せを感じながら。